クバ族のテキスタイル

クバ族はコンゴ民主共和国の南部にかつてクバ王国を形成した民族です。ブショング族をはじめ、約20のサブグループから成り立っています。木彫品やラフィア椰子の繊維で作られたテキスタイルなどの工芸品は美しい幾何学模様が際立ちます。

ショワ族の草ビロード
ショワ族はたった2種類の刺繍の技法を駆使して、ほとんど無限といえるバリエーションを持つ布、草ビロードを作ってきました。ラフィア椰子の葉から糸を作り、平織りの布を男性が織ります。この布にラフィアの糸で女性が刺繍していきます。

刺繍の技法は2種類あります。撚りのないラフィア糸で平織りの表に出た目をひとつずつ拾うミシーンと呼ばれる技法と、同じく目をひとつ拾って細かくほぐした糸を通し、それを1、2ミリの長さに切るランバットと呼ばれる技法です。1、2ミリに切りそろえられた糸が一定の面を埋めるとビロード状になるのが「草ビロード」の名の由来です。
ミシーンによって文様の輪郭を描き、そのあとランバットで面を埋めていきます。ミシーンによる線は布の対角線の方向をとり、直線、菱型、十字、山型などの文様が繰り返し描かれます。

ブショング族のアップリケ
ブショング族の女性たちが刺繍やアップリケで作りだす模様は、まるで絵画のよう。模様は物語になっているともいいます。
長い年月を費やして作ったこのような衣装を身に付けることはさぞかし誇らしいことであったでしょう。